「辰まる君のつぶやき」No.5 辰まるが聞いた見た先達からの話しを伝えよう。

第五話 神主(しんしゅ。木主もくしゅ)位牌の誕生

あらゆるものが(死に対して)少しずつ単純化され、象徴化されて、生まれてきたのが木の板で作った神主すなわち位牌に代わってしまった。
この神主は古代では正式にはサイコロを拡大したような正方体であり、正面から奥へ向かって小さな穴が貫かれていたようである。
韓国ソウル市に李王朝の歴代皇帝等の神主を納めた宗廟があるが、その神主は古代儀式に基づいて穴の貫通した正方体神主である。
しかし、一般人の場合は十二世紀の朱子のころに作られた「家礼」という書物が教えるような神主である。
それは二枚の板でできており、前の板を後ろの板に横から差し込む。そしてさらにその二枚の板を四角の台に差し込んで安定させる。
この神主は頂きのところに特徴がある。横から差し込む前方の板の頂きは直線であり、全体としても長方形であるが、後方の板の頂きはカーブして円形である。
前は方形、後ろは円形、すなわち前方後円となっている。これは何を意味しているのか。円は人間、頭を(円形)表している。また、差し込む台は四角である。これは人間の両足をそろえて上から見れば足首から下の両足をそろえた形がほぼ四角であることからわかるように足を表している。
つまり頭蓋骨は板によって足は台によって表現している。それは人の姿をあらわしたものであり、人形(ひとがた)の象徴である。人形(にんぎょう)である。死者の似姿なのである。前述の骸頭(マスク)と同じことであり、現代ならば遺影写真ということになる。
この神主は普段は安置場所に納めている。上述の李王のような場合は、巨大な宗廟の中であり、一般人の場合は祠堂という別棟の建物、あるいは住居の中の一室にある祠壇である。
前述のように太古においては頭蓋骨そのものを(みたまや)に安置していたのが、後には神主にかわったのである。この神主は頂きの円形後方の板は中心あたりで縦にくりこまれている。
このところに死者の現世における記号、すなわち本名や生年月日、死亡年月日などが記される。しかしこれは前方に板を横から差し込んで隠してしまう。そして前方の板には型通りの書き方で当主との関係、すなわち父とか母とかを意味する言葉を書く。その書き方は決まっている。難しいのでここでは略します。
この神主(位牌)に魂、魄(はく)を依りつかせる招魂再生儀礼が儒教流に言えば祖先供養なのである。
冠婚葬祭の「祭」とは、祖先祭祀を称するのである。中国仏教は、この神主を祭ること、すなわち祖先祭祀を取り入れたのである。そして神主を位牌と称し、先祖供養をすることになったのである。当然日本の仏教もそれに従っている。

今回はここまでであるが、何度か読んでみて下さい。
何となく理解出来ます。
次回は(魂はこの世にいる)

辰まる君でした‼

PAGE TOP