三国天台宗とは

数ある仏教宗派の中で、東アジア三国(中国・日本・韓国)において布教・発展したのは天台宗のみです。
中国においては隋の時代、智顗(ちぎ)により天台宗が確立されました。智顗は天台大師あるいは智者大師と呼ばれます。
 
日本においては平安時代、最澄(767~822)が中国(唐)に渡り天台教学を修め、帰国後、比叡山延暦寺を開き天台宗を確立しました。最澄は伝教大師とも呼ばれます。
後に日本仏教の代表的宗派を開いた法然、親鸞、日蓮、栄西、道元らも若き日に比叡山で修行の日々を送ったことから、比叡山は「日本仏教の母山」などと呼ばれます。

韓国においては高麗時代、義天(1055~1101)が中国(宋)に渡り天台教学を修め、帰国後、霊通寺を開き天台宗を確立しました。義天は大覚国師と呼ばれます。
なお、現在の韓国天台宗は救仁寺を本山とし、韓国有数の仏教宗派として発展を遂げています。

史上初、三国天台宗が一堂に会す

1996年(平成8年)10月、比叡山延暦寺において「天台智者大師1400年大遠忌法要」が執り行われることとなり、その際、心のひろば(RMC世界平和財団)は史上初めて三国天台宗が一堂に会することに協力しました。

また、心のひろば(RMC世界平和財団)は比叡山延暦寺との共催により「天台大師報恩の夕べ」(9月30日)を企画運営し、三国天台宗の交流促進に尽力しました。

【天台智者大師1400年大遠忌法要】

「私たち天台宗では、天台大師を高祖、日本天台宗・総本山比叡山を開かれた伝教大師を宗祖とお呼びしています。本園は、その高祖天台大師がお亡くなりになってから1400年の節目にあたります。これを記念し、報恩感謝の心をもって、中韓天台宗の僧侶の方々をお招きし、中・韓・日三国による盛大な開闢法要を行い、続く10月1日から11月15日までの45日間に渡って、大師の教えをいただく天台法華経系の19の教宗派を延暦寺根本中堂に大結集して報恩法要を施行するものです」(「天台大師報恩の夕べ」パンフレットより)

「今年は中国の天台智者大師が寂滅されてから1400年目に当たります。天台大師は中国のお釈迦様と言われるほどの大聖人でした。その教えは直接日本に伝えられたりして、日本仏教の大きな柱となりました。その天台大師の教えを天台宗の名で現在も伝えているのは、中国と韓国と日本の三国です。

その三国天台宗が10月に合同で大法要を行うのに先立って、三国の伝統芸能を根本中堂に奉納し、韓半島を始め、東アジア、ひいては世界の平和を祈ります。心のひろばのみなさんのご協力でこれが実現できた今、三国間の新しい歴史の一ページが開かれます。仏教を通しての世界平和を共に祈りましょう。比叡山延暦寺執行(当時)小林隆彰」(「天台大師報恩の夕べ」パンフレットより)

三国天台宗祈念碑の建立、奉納

1996年(平成8年)、心のひろば(RMC世界平和財団)は、史上初めて三国天台宗が一堂に会し合同を法要が挙行されたことを記念し、延暦寺内に「三国天台宗宇宙共生・人類和合祈念碑」を建立し、奉納しました。
2019年には、祈念碑傍に祈念塔を建立すべく「三国天台宗宇宙共生・人類和合祈念塔建設準備委員会」を発足させました。

【祈念碑解説】

「この祈念碑は中国・韓国・日本の三国天台宗が歴史上はじめてここ比叡山に集い、天台大師1400年大遠忌法会を慶祝し、その御恩に報いるとともに、世界の恒久平和を祈念して建立されたものです。
心のひろば(RMC世界平和財団)では、このたび三国三山(天台山国清寺、小白山救仁寺、比叡山延暦寺)が、1400年目にして新しい出会い、新しい思いを誓えあえたことに、この上ない喜びを感じております。
碑文の上に彫り込まれている渦状の紋は、鳴門の紋といい、事が成就する、あるいは対立したふたつのものをひとつにするという意味があります。韓民族の願いである半島の統一を是非とも成就したいものです。
世界の平和は、宇宙の宝であり、アジアの平和は、世界平和の魁である。
南北の統一は、東アジアの愛である。
私はこの愛が育まれる日まで、祈り続けたい。(「三国天台心の旅」より)

「三国天台心の旅」出版

1999年2月、心のひろば(RMC世界平和財団)は、三国天台宗のさらなる交流促進に資するため、三国天台宗の歴史と現況を伝える「中国・韓国・日本 三国天台心の旅」を企画編集し、出版しました。
本書は、日本語版・中国語版、韓国語版がそれぞれ出版されました。
発刊にあたっては、天台宗国清寺住持・可明師、大韓仏教天台宗宗正・金道勇師、日本天台宗天台座主・渡邊恵進師らからも御寄稿をいただいています。
また、同年4月には、心のひろば(RMC世界平和財団)が主管し、「出版記念の集い」がホテルニューオータニにおいて開催されました。
集いには三国天台宗のみならず国内外の宗教関係者が多数出席されました。

大韓仏教天台宗、総本山・救仁寺について

大覚国師・義天によって開かれた高麗(韓国)天台宗は、李朝の廃仏政策により500余年の断絶を余儀なくされましたが、第二次大戦後、上月円覚祖師により再建され、現在では韓国仏教界で中心的役割を果たすまでに発展を遂げました。
大韓仏教天台宗総本山である小白山救仁寺は、韓国忠清北道丹陽郡にあります。
大韓仏教天台宗にはソウルの観門寺、釜山(プサン)の三光寺など大規模寺院が数多くありますが、中でも総本山救仁寺は建坪6千余坪、収容人員1万人を誇る巨大寺院です。
同宗は、仏教の国際交流に関して積極的な活動を行っており、心のひろば(RMC世界平和財団)は日本側の窓口の一つとして、三国天台宗の親善交流に協力しています。

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